ふりあん|八事おやこのスペースできるまで物語

Vol.1 はじめに

ずっと考えていたこと…子育てはイベントじゃなくて日常ってこと。
相談はバスに乗ってあそこに行く、とか。情報は地下鉄に乗って行くあそこにたくさんあるっていうのじゃなくて。
ベビーカーや自転車でひょいって行ける場所で、相談ができたり、情報があったり、友だちとの出会いがあるといいなぁってこと。いつかは自分たちでそんな場所を作りたいとずっとずっと考えていたけれど、どうしたらいいのかわからなかったし、はじめる勇気もなかった。

そして、ずっとずっと考えて…平成18年、昭和区八事本町に「たんとハウス」をオープンさせました。

それから6年後の平成24年にお隣の小学校区へ引っ越しをし「ひばりがおか親子のスペース」。その2年後に現在の八事半僧坊マンションに引っ越しをして「八事おやこのスペース」を開設しました。

なぜ、こんなに引っ越しを重ねたのか…ちょっと長くなってしまいますけど、よかったら読んでください。

引っ越しを重ね、とってもステキなお部屋になりました。


Vol.2 ずっとずっと考えていたこと

ベビーカーや自転車でひょいって行ける場所で、相談ができたり、情報があったり、友だちとの出会いがあるといいなぁってこと。いつかは自分たちでそんな場所を作りたいとずっとずっと考えていたけれど、どうしたらいいのかわからなかったし、はじめる勇気もなかった。

それでも名前は決まっていたの。それは「たんとハウス」。

「たんと」はフランス語の「tant(たくさん)」と言っているけれど、実はもう一つ、名古屋弁の「た~んと(たくさん)」からもきているの。けれどやっぱりおしゃれなのはフランス語でしょ!?名古屋弁のことはふ~~んと聞き流して忘れちゃってください。
そしてついに機は熟した……なんて言うとかっこいい?そんなかっこよさじゃなくて、「こういうことがしたいのよ」って言っていると、だんだんやれそうな気分にもなるし……暗示?
一緒にやるよって人も集まる……脅した?いえいえそんなことはありません。
念ずれば通ずるって昔の人の言うことは一理あるね。 で、平成 18 年度中に「たんとハウス」をつくろうと計画したのです。


Vol.3 大家さんはいい人ぞろい

計画はしたものの、空き箱で夢のお家(小学校の工作の課題みたい・こういうことは大好き)をつくるわけじゃなくて、相変わらずどうしていいかわからないまま…グスン。
この学区でと勝手に決めていた地区は、新聞の不動産会社のチラシにも「人気の学区」として扱われている学区。本当に空いている部屋が少なくて歩いて見て回っても 2 軒だけ、残念ながらどちらも借りられませんでした。

子どもたちがたくさん集まると、騒がしくなりそうだから前からの入居者さんに申し訳ないと……どちらもホントいい大家さんですよね。知り合いの不動産会社さんも言っていました。
大家さんは人徳者が多いって。「あ~ん私たちの大家さんになって!」 今回は念じても通じませんでした。

地域の方に心当たりのマンションはないかと聞いたり、いろいろ尽力していただいたけれど、そもそも空いていないからどうにもならなくて、諦めて貸店舗を探すことにしました。
知っていますか?貸店舗って権利金(と書かれていることが多かったです)がいるんです。それもめちゃくちゃ高くてびっくり。

やっぱり「たんとハウス」は空き箱で と思っていたその時、インターネットでなかなかいい感じの部屋をみつけました。いい感じだったのは家賃と権利金、広さ的にはちょっと狭い気がしたけれど、ともかく部屋を見せてもらおうとドキドキしながら不動産会社に連絡をしました。


Vol.4 現実はきびしい…実感

実際、見てみるといい感じのフローリングと横じゃなくて縦のブラインドがあって、なんだか一目惚れって感じでした。確かに最初は狭いと思っていたけれど、何度か足を運ぶうちに、だんだん広く見えてくる……錯覚?思いこみ?……人間って不思議ですよね。

ここにしようってみんなで相談をして、不動産会社に連絡をすると、「審査があります」と。おまけに契約をするには、いろいろな書類が必要とのこと、当たり前だけれど保証人もいるんです。
お部屋はこうして、おもちゃは…と空想してワクワクしてるだけじゃダメで、ちゃんと現実を見つめないとお部屋は借りられないと反省。


Vol.5 迷った時は○木さん?

その後、無事に契約が終わりました。といっても無事じゃないことはたくさんありました。ここでは1つだけ。
明日が契約という日、契約書に書かれていた住所が違っていました。
これがきっかけで契約したくなくなりました。やりたかったことではあるけれど、実現になるかと思うと、継続させる責任だとか、自分たちでできるんだろうかと逃げ出したい気持ちがどんどん大きくなって……で、友人に電話。
ぐだぐだ話しに付き合わせること30分。 なぜか彼女が「○木数子の本を読むと、ラッキーな場所は墓地だって」と。
え~~~たんとハウスのすぐ隣は墓地。もちろん彼女はたんとハウスの場所を知らない。
占いを信じるタイプではないけれど、その一言で、すっと気が楽になったことは確か。契約前夜の出来事でした。 


Vol.6 ちょっと真面目に。

前にさらっと「この学区でと…決めていた」と書いたけど覚えているかな? 今回は
その理由を書きます。
たんとハウスはお店じゃないから、どこでもいきなりエイヤッとオープンさせたくなかったんです。とっかかりは、赤ちゃんや子どもになるけど、地域の中での人間関係を紡ぐところにしたいと思っていたので、地域の人たちに理解してもらえてこそのオープンだと決めていたんです。
今は町内会に入らない人や入らないマンションも多くなってきたということです
でも町内会って知っているよね?でもって町内会長さん(区政協力委員さんとも言うんだよ、私も最近知りました)がいるってことも知っているよね。民生委員さんとか主任児童委員さんって人たちがいることも知っているかな?
どの学区にも町内会長さんや民生さんはじめ、子ども会の代表等々その学区のいろいろな立場の人たちが学区のことをいろいろやっているんです(これであってるかな?)。

社会福祉協議会さんが、学区の福祉推進協議会につなげてくれて、そのメンバーになることになりました。この学区は子育て支援に積極的で、学区で子育てサロンを立ち上げようとしているところでした。住民だったこともあるけれど…でも住民ではなく NPO としてメンバーになったんですよ。これって結構、珍しいことなんですよ。
社会福祉協議会さんやNPOの一員を受け入れてくれたメンバーの人たち、本当に感謝しています。 

学区の子育てサロンは、その後、秋から定期的なサロンの開催が始まりましたが、そうやって一緒になにかをすることで、お互いが理解し合えると思うんですね。お互いの得意なことで協力しあうことで、サロン利用者にもより快適に利用してもらえると思うしね。
そうして、やっと地域の中に根をはれそうだと思えたので、「この学区で」という発想になったわけです。 
こういうことがやりたいと考え始めたのが 5 年くらい前。そして、やりたい地区を決めたのが 2 年前、物忘れは悲しいくらい激しいけれど、こうしたいって気持ちはしつこく持っているんですよ(笑)。


Vol.7 恐るべき お掃除主婦軍団  改め お掃除道具好き主婦軍団

10 月のある日、たんとハウスの掃除をしました。
こういう時はふりあんらしく、自分の好きな掃除道具を持って集合!となるわけです。思い思いの掃除道具をもって、集合時間は一応あったものの思い思いに集まり、思い思い好きな場所の掃除にとりかかる…どうなるか、どこの掃除が終わってどこがまだかわからなくなるのです。みんな途中であきたと言って場所替えするんだもの。

結構おもしろかったのは、高いところの掃除が好きな人とか、細かいところがいい人、ずっと同じ場所を念入りにする人、ふと見るといつも違う場所をしている人、いろいろなんだぁと人を見ているのは楽しかったです。

結局、途中でお茶タイムとなってしまい、そのまま終了となってしまいました。

道具はすごかった。初めてみたものは松居棒とトイレの便器の汚れを落とす消しゴムみたいなもの。それからこんなものが…と思ったのが、窓掃除のゴムのワイパーみたいなの(アレは業務用だと思っていた)と、箱入りの使い捨てビニール手袋 (工作の材料としては買うけれど主婦が買う単位じゃないじゃない)の量。 


Vol.8 貧乏性というのか…ケチというのか…

たんとハウスで使うものをいろいろ買いそろえています。でもね、買えないんだよね…今日は仕事のついでに時間が少しあったからショッピングセンターに行きました。
 
売場改装ということで20%OFFの紙がいたるところにペタペタ貼ってあったんです。主婦の血が騒ぎだし、カゴにあれやこれやと入れ始めてカゴが満杯になったところで…ヤカンは家に余っていたのがあったし、水切りカゴは本当にいる?と。元にあった場所に戻し初めてしまいました。 ひとつ戻すともうダメで結局何も買えませんでした。

たんとハウスの準備資金はみんなで作り出したもの、だから、気軽に使えない。
それに 安いだけじゃダメなんだよね、来た人がホッとできるような雰囲気を壊さないような、ピピってくるものがないと買えないってのもあるしね。

本当にね、笑っちゃうくらい買えないの。カーテンを買うのに行った店は 5 軒以上、これを 1 日で回るんだからガソリン代は結構無駄 に使っているよね。
棚の目隠しはカフェカーテンにしようと、またまた新たなお店へ。計算すると3,000 円くらいするから、生地を買って作ることにしました、これだと半分くらいでできる。 
ミシンでカタカタいい気分だったのですが…びっくり!縫う方向を間違えていて、上の方では表に折り返して縫っているけれど、下は裏に折り返している…わかる?この失敗。これはちゃんと直してヤレヤレして、つけてみたらまたまた驚愕の事実が…長さが違う。

初めから手芸の得意な○○さんに頼めばよかったけど、彼女も忙しそうだしと遠慮していたのがいけなかった。また生地を買う?だったら始めにカフェカーテン を買えばよかったということになるしねぇ。仕方ないから誰かが見るに見かねてなんとかしてくれることを祈って、そのままにしておくことにしました。 


Vol.9 コントハウス

たんとハウスのロゴが決まりました。 文字と子どもをからめて欲しいとデザイナーさんに依頼して、珍しく 3 回もダメだしをしちゃいました。
 
見る人によっては、「こんとハウス」に見えるそうですが、あたなにはどう見えますか?
悔しいけれど、 確かにたんとハウスはコントハウスかもしれないですね…一度確かめに来てくださいね。

そうそう明日は開所記念会を行います。町内や区役所、これまでの活動でお世話になっている方々とふりあんのメンバーの顔合わせも兼ねています。様子はまたアップしますね。
このところ、掃除にあけくれています。仕事の帰りや用事に行く前、ちょっと寄ってみたと、好きな時間に好きな道具を持ってふらっと来てくれるメンバーと相変わらず一斉に行動するのが苦手なふりあんでした。

開所記念会は「ジーパン禁止」となりました。明日はちょっとおしゃれなメンバーに会えそうです。 


Vol.10 これでこの物語は最後になるかな?

朝から雨…でもね、ことの始まりは雨だとちょっと嬉しい、「雨降ってなんとか」って言うから。
無事に開所記念会は終わりました。22 人に参加いただきアットホームは雰囲気の中、これからが本当の始まりだと気を引き締めています。この物語はこれで一段落。  
  
なんかね、本当に人は独りでは生きていけないと実感した一日でした。


Vol.11 たんとハウスできるまで物語はこれでおしまい…

いただいたお花やプランターに植えた花たちにお水をあげようとたんとハウスに行くと、前回行ったときのままなんです。当たり前なんだけれど、でも、こんなことも感慨深い。
例えば、生涯学習センターの部屋を借りて、ものを出したまま帰ってきたとして(そんなことはしちゃいけないけれど)、次に行ったときにはきれいになっているでしょ?たんとハウスはそのまんま。そういう所で、たんとハウスに対しての責任をずっしりと感じるわけです。「あ~ここが私たちの部屋なのね」ってね。
室内はまだまだガラ~ンとしていますが、スタッフとそしてたんとハウスを訪れてくれる人との想いで、あたたかい雰囲気を作っていけたらと考えています。遊びに来てね、お待ちしています。長々と読んでくださってありがとう。 
 
その後…ひばりがおか親子のスペースへ
平成 18 年、昭和区八事本町に誕生した「たんとハウス」。暑い夏の日、水遊びをしていると近所の方が「タライあげようか?」と声をかけてくれました。上階からの水漏れが 2 回もありました…と、それなりに楽しい日々を過ごしていました。

楽しかったのですが、ちょっとした問題が起こりました。それは、「たんとハウス」でしている「らららルーム(なごやつどいの広場事業)と「地域子育て支援センター」は中学校区に 1 つという目安ができたことです。
う~ん、私たち引っ越しするしかない?
せっかく定着してきたところだったし、引っ越すあてもなく…でも、事業を続けるには引っ越すしかないかと、平成 24 年 5 月、お隣の学区の雲雀ケ丘(ひばりがおか)にお引っ越しをしました。
 
真っ青だった内装はベビーピンクに、トイレは太陽のイメージで黄色に、とても使い勝手のいいスペースとなりました。昭和区と瑞穂区と天白区の入り混じった場所にあり、3 つの区からの利用者さんの笑顔でいっぱいでした。

またまた…お引越し。八事おやこのスペースへ
が、またしても問題が。それは耐震と広さです。まだ厳密な要件ではなかったけれど、近々、要件になるとわかり、2 年と半年で、またまたお引っ越しです。

最初にわからなかったの?とお思いの方もいますよね?わからない…というか後から決まる…というのかな。。。

「つどいの広場」ができた時は、地域の中に広場を作ることが第一。
その次は、どこにというバランスで、中学校区に 1 つとなりました。
そして次に環境面での質の向上。
みごとに事業の移り変わりとともにお引っ越しをしているといったわけです。

お陰さまで、平成 26 年 10 月より、八事半僧坊(やごとはんそうぼう)に新しく「八事おやこのスペース」を開くことができました。とっても広くて、とっても明るい所です。一度、遊びに来てくださいね。

こんなわけで、私たち…引っ越し貧乏です(笑)。